オペレーション 活用編
予実管理では状況を様々な角度から比較・分析することが重要です。
今回のドリルでは、部門ごとに各科目の小計を累計期間で表示できる予実一覧表の作成方法を解説します。
プロジェクトファイル (作成バージョン:8.0.42.0) | budget-control-4_before.fgcp budget-control-4_after.fgcp(実装済みプロジェクトファイル) |
1.プロジェクトを確認する
今回の演習で使用するプロジェクトを確認します。
手順1-1.テーブルを確認
ナビゲーションウィンドウのテーブル欄には「部署マスタ」、「科目マスタ」、「予算管理」の3つが存在しています。
予算管理テーブルには各部署の科目ごとに予算と実績のデータが月単位で保管されています。
今回は既に予算と実績の情報がまとまっているテーブルが用意されていますが、実際の業務シーンでは予算と実績を別々のテーブルで管理しているケースもあると思います。
そういった場合にはこちらの記事で紹介している方法でデータを集約することができます。
本記事と合わせてご利用ください。
>関連記事:日ごとに集計している実績データを月単位で集計し予実の一覧表を作る
予実管理テーブルでは、部署や科目のデータをコードでのみ保持しています。
それらの名称は、それぞれ部署マスタと科目マスタに保管されています。
SQLを使うかどうかによって手順は異なりますが、どちらの方法でもこれらのテーブルを使って部署名と科目名の表示ができるように設定を行います。
また、今回はあらかじめForguncyに内部テーブルを用意していますが、ExcelやCSVなどのファイルからデータを取り込んで使用することもできます。
>関連記事:ExcelやCSVから予実のデータをインポートする
手順1-2.ページを確認
今回の演習には「予実累計」と「予実累計_SQL用」という2つのページがあらかじめ用意されています。
実装前のプロジェクトファイルではこの2つには違いはありません。
しかし、SQLを使うかどうかでリストビューのデータソースとなるテーブルが変化します。
どちらの方法も1つのプロジェクトファイルで学んでいただけるように、今回はページも2つご用意しています。
ページにあらかじめ用意されている年度・部署・科目のコンボボックスは予実累計の表示データを絞り込むのに使用します。
2.SQLを使わずに予実の累計を表示する
SQLを使わないで累計の予実状況を表示するには、テーブルの関連付けと数式フィールドという機能を使用します。
手順2-1.テーブルの関連付けを行う
予算と実績を求める前に、各レコードの部署名と科目名の表示ができるよう部署マスタ・科目マスタとの関連付けを行います。
手順2-1-1.部署名を取得する
ナビゲーションウィンドウの予実管理テーブルを展開します。
表示された部署コードフィールドを右クリックし、テーブルの関連付けを設定をクリックします。
参照するフィールドの設定ウィンドウが開くので、以下のように設定します。
対象テーブル | 部署マスタ |
対象フィールド | 部署コード |
OKボタンを押下しウィンドウを閉じると、ナビゲーションウィンドウの部署コードが展開できるようになっています。
展開した中に部署名フィールドが含まれていることを確認して下さい。
手順2-1-2.科目名を取得する
部署名の取得と同様の操作を科目コードに対しても行っていきます。
ナビゲーションウィンドウの予実管理テーブルを展開します。
表示された科目コードフィールドを右クリックし、テーブルの関連付けを設定をクリックします。
参照するフィールドの設定ウィンドウが開くので、以下のように設定します。
対象テーブル | 科目マスタ |
対象フィールド | 科目コード |
OKボタンを押下しウィンドウを閉じると、ナビゲーションウィンドウの科目コードが展開できるようになっています。
展開した中に科目名フィールドが含まれていることを確認して下さい。
手順2-2.数式フィールドの作成
各月時点での予実状況の累計値を取得する、数式フィールドを作成します。
数式フィールド
数式フィールドとは、テーブル上のフィールドを使って計算や文字列の操作をすることができるForguncy独自のフィールドです。
このフィールドはForguncyの内部でのみ保持されるものとなっており、実際のテーブル構成を変化させるものではありません。
詳細についてはヘルプを参照してください。
>数式フィールドの作成(Forguncyヘルプ)
手順2-2-1.4月の累計値フィールドを作成する
数式フィールドは予実管理テーブルに作成します。
ナビゲーションウィンドウの予実管理テーブルを右クリックし、[数式フィールドの追加…]をクリックします。
数式フィールドの追加ウィンドウが開くので、まずは4月の累計値を表示する数式フィールドを作成します。
フィールド名に「4月累計」と入力し、データ型は「整数」を選択します。
ウィンドウ下部にある数式欄には[_4月]と設定します。
この設定はフィールド名欄にある[_4月]を選択することで自動的にセットされます。
4月時点での予算・合計の累計は他の月のデータから加算を行わないため、これで[OK]ボタンを押下してウィンドウを閉じます。
ナビゲーションウィンドウの予算管理テーブル下に_4月累計フィールドが追加されたのを確認しておきます。
手順2-2-2.5月以降の累計値フィールドを作成する
5月以降の累計値は前月までの予算額・実績額をそれぞれ加算する必要があるため、その設定を行います。
_4月累計フィールド作成時と同様に、ナビゲーションウィンドウの予実管理テーブルを右クリックし、[数式フィールドの追加…]をクリックします。
数式フィールドの追加ウィンドウが開くので、5月の累計値を表示する数式フィールドを作成します。
フィールド名に「5月累計」と入力し、データ型は「整数」を選択します。
ウィンドウ下部にある数式欄には[_4月累計]+[_5月]と設定します。
数式の内容は基本的には自分で入力する必要がありますが、先に作成済みの_4月累計フィールドを含めた予算管理テーブル上にあるフィールドはウィンドウ内のフィールド名欄から選択することで自動的にセットできます。
[OK]ボタンを押下すると_5月累計フィールドが作成されます。同様に他の月の累計値を表す数式フィールドを作成していきます。
各フィールドの設定内容は下表のとおりです。
フィールド名 | データ型 | 数式 |
---|---|---|
_4月累計 | 整数 | [_4月] |
_5月累計 | 整数 | [_4月累計]+[_5月] |
_6月累計 | 整数 | [_5月累計]+[_6月] |
_7月累計 | 整数 | [_6月累計]+[_7月] |
_8月累計 | 整数 | [_7月累計]+[_8月] |
_9月累計 | 整数 | [_8月累計]+[_9月] |
_10月累計 | 整数 | [_9月累計]+[_10月] |
_11月累計 | 整数 | [_10月累計]+[_11月] |
_12月累計 | 整数 | [_11月累計]+[_12月] |
_1月累計 | 整数 | [_12月累計]+[_1月] |
_2月累計 | 整数 | [_1月累計]+[_2月] |
_3月累計 | 整数 | [_2月累計]+[_3月] |
最終的に、ナビゲーションウィンドウ内に12個の数式フィールドが生成されたら完了です。
3.SQLを使って予実の累計を表示する
SQLを使う場合は、ビュー機能を使用します。
ビューについては開発スタートガイドやヘルプに記事がありますので、詳細はそちらを参照してください。
手順3-1.ビューの作成
リボンの[作成]>[テーブル]>[ビュー]から[ビューの作成]を押下して、ビューの作成ウィンドウを開きます。
ビュー名欄に「v_予実累計」と入力し、下記のSQL文をコピーして貼り付けます。
SELECT
年度
,予実.部署コード
,部署マスタ.部署名
,予実.科目コード
,科目マスタ.科目名
,分類
,_4月 AS _4月累計
,_4月 +_5月 AS _5月累計
,_4月+_5月+_6月 AS _6月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月 AS _7月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月 AS _8月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月 AS _9月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月 AS _10月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月+_11月 AS _11月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月+_11月+_12月 AS _12月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月+_11月+_12月+_1月 AS _1月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月+_11月+_12月+_1月+_2月 AS _2月累計
,_4月+_5月+_6月+_7月+_8月+_9月+_10月+_11月+_12月+_1月+_2月+_3月 AS _3月累計
FROM 予実管理 AS 予実
LEFT JOIN 部署マスタ
ON 予実.部署コード = 部署マスタ.部署コード
LEFT JOIN 科目マスタ
ON 予実.科目コード = 科目マスタ.科目コード
OKボタンを押下してウィンドウを閉じます。
手順3-2.ビューの確認
ナビゲーションウィンドウからv_予実累計ビューを開き、構成を確認します。
基になった予実管理テーブルとの違いは、4月~3月までの予算額や実績額を保持していたフィールドが_4月累計~_3月累計となっており、その月時点での累計額が表示されるようになっている点です。
4.予実累計ページを作成する
ここまでの手順で準備した各月時点での累計値のデータを一覧表形式で表示するページを作成します。
ここからの手順では、これまでの作業でSQLを使わなかった場合は「予実累計」ページを、SQLを使用した場合は「予実累計_SQL用」ページで作業を行ってください。
なお、この時点では2つのページに名称以外の差はありません。
手順4-1.リストビューの作成
予実管理テーブルまたはv_予実累計ビューを一覧表示するリストビューを作成します。
手順4-1-1.リストビューの配置
ページ上の黒い枠線に囲われたセル範囲のうち、上側のセルを選択した状態でナビゲーションウィンドウから予実管理テーブルまたはv_予実累計ビューをそのセル範囲にドラッグ&ドロップします。
リストビューがページに配置されたら、リボンの[ホーム]>[フォント]>[罫線]から枠線なしを選択して黒い枠線を消去してください。
手順4-1-2.項目をセット
リストビューに各項目をセットしていきます。
ナビゲーションウィンドウのからリストビューのデータソースに指定したテーブル/ビューを展開し、フィールド名が表示されるようにします。
リストビューの列ヘッダーの真下の行に、年度、部署名、科目名、分類、4月累計~3月累計の各フィールドを配置します。
リボンの[リストビューツール]>[デザイン]>[列設定]から[セルの自動結合]にチェックを入れると同じデータが続く行をリストビューが自動で結合して表示するようになり、見た目も分かりやすくなるのでお好みで設定してください。
手順4-1-3.表示データの絞り込み設定
リストビュー上部にある3つのコンボボックスで指定したデータだけを一覧表示する設定を行います。
リストビューを右クリックし、[クエリー条件…]をクリックします。
クエリー条件ウィンドウが開くので、下記のように設定します。
フィールド | 条件 | 値 |
---|---|---|
[年度] | =(等しい) | =E6 |
[部署コード] | =(等しい) | =O6 |
[科目コード] | =(等しい) | =Z6 |
これで、ページの設定は完了です。
6.デバッグを実行する
リボンの[ホーム]>[デバッグ]>[開始]ボタン、またはForguncy Builderの左上にある▶ボタンを押下してプロジェクトをデバッグ実行します。
作成したページがブラウザで表示されます。
リストビューに予算と実績は月ごとに累計で表示されていることを確認してください。
Forguncyで行う予実管理についてもっと知る
製品サイトでは、Forguncyで行う予実管理や今回の記事で使用した機能についてより詳しくご紹介しています。
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